何もないから
「私には、何もない」
と、気付くことから始めなければならなかった。
両手に持っているように思えていたものたちは、どれも私のものではなかった。
何かを好きになることで、自分を肯定しようとしていた。
何かを好きになれる私は、生きる意味があるのだと、自分で自分を納得させようとしてきた。
「ひとりが好き」が口癖の私は、本当のひとりというのをまだ知らなくて、自信を失うといつか本当にひとりになることを想像して、わっと叫び出したくなるのだった。
さっき、道端に座り込んで大声で泣いている子どもを見た。母親がそれをなだめ、弟がそばに立っていた。
「いいなあ」と思った。
いいな、あんなふうに外で大きな声でこれでもかというくらいに泣くことができて。
私もよく泣く方だし、ひとりの時や家族や恋人の前では大泣きすることもあるけれど、外で、知らない人がいる前で、あんなふうに泣き叫ぶことはもうできない。
私はこれからどうしたらいいのだろう。
何を望めばいいのか、わからなくなってしまった。
そこに正解なんてないのだろうけれど。
怖いな。
生きていくことが、あまりにも怖い。
もっと鈍感でいられたらいいのに。
あっけらかんと「なんとかなるよ」なんて言えたらいいのに。
いつもは誇りに思う自分の敏感さも、生きづらさを助長させるだけの欠陥に思える。
ほんとにバカだなあ。
自分で自分の首を絞めている。
わかってる、そんなことくらい。
でもこのバカみたいに苦しんでいる自分も見捨てたくなくて、こうして言葉を書いている。
正しいとか間違いだとかそういう社会的な範囲を無視して、ただ自分が生きていることを肯定するには自分で「いいね」していくしかないから。
何にもならないかもしれないけど、書いていよう。
でも、誰かが見つけて読んでくれたら、もっといいな。
読んでくれた人、ありがとうね。
あなたにいいことがありますように。
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