Honesty(藤井風カバー)
この動画については絶対に書いておきたいと思っていた。
思い入れが強すぎて、うまく言葉にできるか不安だし、音楽について言葉で説明するなんてそもそも野暮なことかもしれない。
でも、私の心が揺さぶられたその感動を、ちゃんと言葉にして残しておきたい。
Billy JoelのHonestyという曲のカバー。
この曲も私は藤井風のカバーを通して知った。
”誠実“
なんて寂しい言葉だろう
誰もがあまりにも不誠実だから
”誠実“
ほとんど聞いたことない言葉だけれど
だからこそあなたに求めたい
動画の字幕に出ているサビの歌詞。
はじめて聴いた時身震いがして、涙が熱く流れ落ちた。止まらなかった。
上手に歌う人は大勢いる。
音程が正確で、伸びやかな声で、抑揚がつけられて、リズム感がよくて。
そういうことはある程度歌い込めば誰にでもできるものなんだと思う。
しかし、それでは人の心は動かせない。
ぶわあっと鳥肌が立って、胸の奥がぎゅっと締め付けられて、熱が涙となって溢れ出る。
堪えきれない圧力のようなものが腹の底から喉元まで昇ってきて、苦しくなる。
本当に感動すると、心が動くだけじゃなく、体が普通じゃいられなくなるのだ。
藤井風の表現する音楽は、私の心を揺さぶり、体ごと感動させる。
それは、彼が心の底から音楽を愛していて、歌うことで生きる喜びを実感し、そしてそこから生まれる感情や叫びのような何かを、吐き出すように歌に込めているからじゃないかと思う。
ただ歌うんじゃない。
ただ心を込めるんじゃない。
藤井風がどんな思いでこの曲を聴き、そして歌ったのか。その心の内を知ることはできない。
それでも。
粛々とコードを鳴らしながらも力強いピアノや、悲しみを背負いながらも強く優しく歌う声。怒り、孤独、苦しみ、その先にある希望…様々な感情が込められているような複雑な表情、目線。
それら全てが心に迫ってくる時、彼の誠実さを音楽そのものから知るのである。
演奏を終えた後のあのひとことも、シンプルだけれど、とんでもなく深く心に響いてしまう。
ああ、誠実に生きたい。
人々が忘れてしまった誠実さを、私は私に求めたい。
彼が歌うことで体現した誠実さを、私はどのように体現できるだろうか。
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